2025
2025.05.15
「障害福祉現場における賃上げ・物価高騰・離職等の状況調査」調査結果の公表について
本会では、令和6年度に引き続き、障害福祉関係団体(4団体※)合同で「障害福祉現場における賃上げ・物価高騰・離職等の状況調査」を実施しました〔調査期間:令和7年4月10日~4月30日/回答数:1,453事業所〕。
※日本知的障害者福祉協会、全国身体障害者施設協議会、全国社会福祉法人経営者協議会、全国社会就労センター協議会
〔調査の趣旨〕
昨今、物価高騰や全産業における急速な賃上げが進んでいます。障害福祉分野では、令和6年度報酬改定による処遇改善加算の拡充、同年度補正予算による人材確保・職場環境改善等に係る補助などの支援施策が講じられ、人材確保のための処遇改善に努めています。
しかしながら、全産業との賃金格差が拡大し、他産業への人材流出が懸念されており、経営努力のみで対応することは困難であり、障害福祉現場では、質の高い支援を提供し続けるために必要な人材の確保が喫緊の課題となっています。
本調査は、こうした賃上げ・物価高騰等をめぐる実態を明らかにすることを目的に実施しました。
〔調査結果から見えた現場の実態〕
◆障害福祉事業所は、令和6年度報酬改定等による加算・補助金をすでにフル活用して処遇改善を進めているが、全産業との賃金差はさらに拡大
◆光熱水費・燃料費、食事提供費は年々上昇しており、重点支援地方交付金による支援に限界
◆各事業所は経営努力による処遇・職場環境改善をもって人材の確保に取り組んでいるが、さらなる財政支援がなければ他産業への人材流出は避けられない
〔提言・要望〕
1.支援の質を確保するための早急な処遇改善、障害福祉サービス等報酬の臨時改定
2.全産業の賃上げと物価指数に連動する仕組みの導入(賃金スライド制・物価スライド制)
3.種別制度間で異なる処遇改善の仕組み・運用の一元化、対象職種等と法人裁量のさらなる拡大
4.光熱水費・燃料費、食事提供費等の物価高騰対策にかかる財政支援の拡充
本調査結果ならびに提言・要望については、障害福祉現場における深刻な実態を踏まえ、国等に対して障害福祉事業所への緊急的な支援を呼びかけています。